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モードレスはどこから来たか – オブジェクト指向UIの起源 –
いや、「モードレスはどこから来たか」ではなく、本来の疑問は「モードはどこから来たか」なのだ。なぜなら自然界にモードはないから。 モードは何もないところに生まれる形だ。混沌に生じた秩序だ。例えばファッションがそう。一般的にモードという言葉は、新しい流行や様式を指す。そして文化的な多様性と進化を促す力として肯定的に受け取られている。つまりモードはデザイン性の証なのだ。 しかしユーザーインターフェースデザインの分野、特にコンピュータソフトウェアの操作性に関するテーマにおいては、モードはほとんどすべてのシステムが宿している原罪として、解決すべき問題として扱われる。 なぜ原罪なのかと言えば、コンピュータというものの発想自体の中に、用途によって役割を変える道具 = 無数のモードを持つ多目的な存在としての性質が込められているからだ。そしてコンピュータは、その宿命であるモードによって、生得的に使いにくいというジレンマを抱えているのである。 コンピュータはその原罪としてモードを宿しているため、それを自然に返すために ー 私たちがもっと自然に使えるようにするために、モードレスネスへの挑戦が必要なのだ。 Design Principle ユーザーインターフェースデザインにおいては、モードレスネス(モードが無いこと)が重要だと言われる。多くの研究者が、ユーザーインターフェースにはできるだけモードが無い方が良いと言い、またデザイン原則としてモードレスネスを提唱している。 例えば2011年の “Mac OS X Human Interface Guidelines” には次のような記述がある。 Embrace Modelessness Users appreciate apps that allow them to be in control and they generally dislike apps that wrest control away from them too often. One of the most common ways that apps take control […]