プロレタリア文学やプロレタリア児童文学というジャンルはあるが、プロレタリア絵本というのは聞かない。
そこで単なる思いつきではあるが、好きな絵本の中でそれっぽいものをとりあえず三つ挙げる。
3位 – 『みんなの世界』 マンロー リーフ(光吉 夏弥 訳)
「もしも、このひろい世界に、人がたったひとりしかすんでいなかったら」という問いかけで始まるこの本は、民主主義のコンセプトを、身近な事柄を例にしながら順序立てて、子どもに教えてくれる。(そこまでプロレタリアというわけではない…)
社会とはどういうものか、なぜ社会にはルールがあるのか、なぜ選挙で投票に行くべきなのか、といったことを、暮らしの中の必然として、やさしい言葉と無邪気な絵で説得していく。
2位 – 『絵で見る日本の歴史』 西村 繁男
巨匠西村繁男の歴史もの。各時代を見開きで描き、石器時代から戦後の高度経済成長までの、日本の生活風景を絵巻のように展開する。
普通、歴史ものというと、各時代の権力闘争や上流階級の文化様式が主題となる。しかしこの絵本の主人公はあくまでも市井の人々だ。
弥生時代に卑弥呼は出てこないし、安土桃山時代に戦国武将は出てこないし、太平洋戦争の時に兵隊は出てこない。描かれるのは、農民、古墳や城を築く労働者、空襲で逃げまどう銃後の人々である。
1位 – 『とべバッタ』 田島 征三
田島征三も名作ぞろいだが、これはもう歴史的大傑作と言わなければならない。「とにかく騙されたと思って読んでみな」と言われて読んだら、途中から瞳孔が開きっぱなしになった。
内容については、もう、「とべバッタ! とべバッタ! とべバッタ!」としか言えない。
以上。