Monthly Archives: September 2009

Event Driven

その頃また別のクラスで、それは物理の授業でしたが、Mac を初めて操作しました。物体の落下速度を計測するみたいな授業で、教師が、「これは生物の授業ではないが、今日はマウスを使います」とかいうジョークを飛ばしつつ、各テーブルに用意してあった Mac のスイッチを入れていきました。その実験のためのアプリケーションが Mac で動くものだったのです。 「この中で、マウスを使ったことがない人いますか?」と教師がたずね、何人かの生徒が手をあげました。僕も手をあげました。すると教師は、「では君たちはまずこのアプリケーションを使ってみてください」と一台の Mac の画面を指差しました。そこには、髪の毛を七三に分けた、目が点でできている男の漫画が映っていて、「Macintosh Basics」というタイトルが表示されていました。例の、マウスの練習やデスクトップメタファの学習をするチュートリアルプログラムです。 僕はそれが楽しくて、何度も繰り返しやりました。マウスによるインタラクティブな反応も楽しかったのですが、金魚に餌をやりすぎると七三男に注意されるみたいな、遊びネタが付加されているところが気に入りました。こちらの行動に応じて様々な反応を示すコンピュータは、まるで生きた存在であるかのように感じられました。 プログラミングという作業がどういうものか何のイメージも持っていなかった僕にとって、そのイベントドリブン(もちろん当時はそんな言葉は知りませんでしたが)な世界は、いったいどうやってできているのかとても不思議でした。膨大な反応のバリエーションがあらかじめ裏に用意されているのだとは(そんなめんどくさいことをする人がこの世にいるとは)、思いもよらなかったのです。

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Mac

専攻していた写真のクラスで、僕は白黒写真に着色して古写真みたいな感じにするというのをテーマにいろいろと作品を作っていました。担任の教師はパティスミスにそっくりで、いつもライダーブーツを履いていました。そのパティ先生がある日、最近はこんなのがあるんだぞと言って、ラボにパソコンを持って来て、Photoshop をデモしました。 写真のレタッチが自由自在にできて、色を塗るのも簡単。それまで暗室で薬品にまみれながら何日もかけてやっていたような作業が、数秒でできてしまうのでした。これまでの苦労は何だったんだと、僕はとてもショックを受けました。 またそのパソコンというのが、同じパソコンでも、コンピュータサイエンスのクラスでやっている黒い画面のものとは全く違うもののように見えました。 これが Mac に接した最初でした。

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Tree Structure

僕が最初にパソコンに接したのは、「コンピュータサイエンス101:DOS の基礎」とかいう大学の授業でした。 僕はその頃、将来はバンドマンか画家か写真家か小説家になろうと思っている根っからの文系人間で、コンピュータについては全く興味がなく、できれば一生関わりたくないと考えていたのですが、一般教養の単位のためにその授業を取ったのでした。 授業は最初、理論というか概念的な説明から始まりました。教師が黒板に木の根っ子みたいな絵を描いて、ディレクトリがどうのこうのと言い出しました。僕はファイルシステムやメモリシステムについて何の前提知識も無く、そもそもコンピュータが何をするための機械なのかも知らなかったので、木の根っ子がコンピュータとどういう関係があるのかさっぱり分かりませんでした。 考えてみると、それまで僕の頭には、ツリー構造という抽象概念は無かったのかもしれません。 マトリョーシカみたいな入れ子構造と言ってくれればまだ分かったかも知れませんが、それでも、マトリョーシカと木の根っ子が同じものとは到底思い当たらなかったでしょう。

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Direct Manipulation

GUI の特徴は三つあると思います。 グラフィカルな見た目 「目的語 → 動詞」のシンタックス 直接操作 GUI を GUI たらしめているのは、スクリーンがグラフィカルであることよりも、むしろ「目的語 → 動詞」のシンタックスで操作するところだと思います。 このシンタックスを守っていれば、見た目が文字だけでも GUI と言えるでしょう。ただしその場合でも、スクリーンは二次元の空間として表現されていないといけません。そうでないと、直接操作が成立しないからです。 ベン・シュナイダーマンは『ユーザー・インターフェースの設計』の中で、直接操作の実現方法として次の三点をあげています。 操作対象及び動作の連続的な表示 複雑な構文ではなく、物理的動作やボタンによる操作 操作対象への影響が即座に見られる高速で逐次的かつ可逆的な操作 つまり、コンピュータの操作からできるだけ間接的なメンタルモデルを排除し、現実の物理法則に従ってユーザーインターフェースを表現するということです。

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Syntax

キーボードで命令文を打ち込むコマンドラインと、操作対象のオブジェクトをアイコンやウィンドウといったグラフィックで表し、それらにマウスを使って直接的に働きかける GUI の、最も大きな違いは、操作のシンタックスです。 コマンドラインが、英語の命令分にならって「動詞 + 目的語」というシンタックスでコンピュータに処理を伝えるのに対して、GUI では、「目的語(対象オブジェクトの指定)+ 動詞(メニュー選択あるいは特定のジェスチャ)」というシンタックスで操作を進めます。 「こと」を優先するのがコマンドラインで、「もの」を優先するのが GUI というわけです。

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About this blog

このブログは、今後ずっとやっていくようなものではなく、ひとつのテーマについて常日ごろ思っていることをメモしてまとめるためのものです。ひととおりメモしおわるまでのテンポラリーなものです。 そのテーマというのは、「モードレスとモーダル」です。このふたつのカテゴリーは、ユーザーインターフェースを支配する最もハイレベルの二大思想であり、我々が道具を評価する時の根本的な二大基軸であると思うのです。 ユーザーインターフェースというのは人とシステムのコミュニケーション様式です。この様式は大きく、モードレスとモーダルという二種類に分類できます。どちらを好むかは人によります。どちらを好むにしろ、その人は、社会というシステムとインタラクトする時にもその様式を期待し、また従おうとするのです。これが僕の持論です。 このブログでは、そのモードレスとモーダルというものについて、適当にメモ書きしていきます。

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