Progressivism

ほとんどの業務アプリケーションは、タスクとして決められている手続きをオンラインで行えるようにしたものです。しかしタスクを厳密に定義するほど、またそれを忠実にオンライン化するほど、アプリケーションはモーダルになっていきます。モーダルなアプリケーションは使い方が限定的かつ暗黙的なので、知識として学習していないと正しく使えないし、使っていて楽しくないのです。

前に、業務アプリケーションの役割を「業務手続きのオンライン化」から「業務のオンライン化」に変えていく必要がある、と書きました。これはつまり、タスクの手順を操作の手順に置き換えるのではなく、タスク自体をオンラインに最適化するべきであるということです。

例えば、申請系の業務アプリケーション(勤怠の申請とか出張旅費申請とか)の多くは、通常は必要ないようなオプション項目がやたらと沢山あり、妙に面倒な画面になっていたりします。よく見るとこれらのアプリケーションは、「申請すること」が目的なのではなく、「申請書を作成すること」が目的になっているのです。その申請書はかつて紙ベースで業務を行っていた時のフォーマットそのままであって、オンラインならではの効率化が全くなされていないのです。例えば自分のログイン情報から自動的に決定するような項目を入力しなければならなかったり、条件分岐で不要になる項目がずっと見えていたり、必要に応じて後から追加すればよい情報を事前に全て入力しなければならなかったりするのです。オンラインで申請することを目的とするなら、申請項目の種類や見せ方、優先度の表現、承認フローと入力タイミングなども含めて業務を再設計することが望ましいでしょう。

前回の販売実績照会で言えば、1, 2, 3 の作業を手続きとしてオンライン化するのではなく、「自分が売った商品」というオブジェクトをオンラインで自由に照会できるようにすることが重要なのです。結果的に、それまで業務と思われていたものは実は手段の一例であり、必要なオブジェクトを自由に扱えるようにすることで、ユーザーはもっと創造的になれるかもしれないのです。

業務自体は変えず、単に手続きをオンライン化するということに、企業は、つまりモーダルな組織は莫大なコストをかけてきました。これはモードレスな者からすれば無駄としか言えないのですが、モーダルな組織は自身を維持することが最重要課題なので、コストの配分について保守的にならざるを得ません。すでに出来上がっている枠組みの中で少しずつの改善を行いたがるのです。少なくとも、その枠組みで物事がなんとか回っているうちは、あえてそれを変更することはしません。

ところがモードレスな人間というのは、とりあえず現状を否定してゼロから作り直してみることにチャレンジしたがります。結果として今よりも状況が悪くなる恐れがあっても、現状が理想と違うと思えば、そもそもの枠組みから変えなければならないと考えるのです。このような無鉄砲さはビジネスにリスクをもたらしますが、逆に言えば、こういう進歩的なモチベーションがなければ、積み上げ式ロジックからの飛躍は不可能でしょう。

  • モードレス:進歩主義
  • モーダル:保守主義
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